3/13 ネズモチ平
野兎駆除の最終日なので、ベテランのMさんと父と私の3人でホテル大自然館前から歩き始めた。
一昨日、昨日の2泊していただいたHさん夫妻は既に出発したようである。
他に四駆のジープらしき車が2台停まっており、それぞれ関東ナンバーのものであった。
幸い、山スキー屋さんのトレースが有り、Mさんと父は喜んでいたが、私は厭な予感がした。
予感は的中し、私だけが二度ぬかりという、もっとも体力をロスするパターンとなった。
今日のコースは、Mさんと父が決め、白崩沢林道の終点まで歩き、
そこから下って、ヤジマナ沢右岸の登山道を登り、ネズモチ平らで十分猟を行うという計画であった。
ここの所、随分と雪が続き、深山では相当に雪が深くなっていたのだ。
白崩林道では、私が踏み跡の無い所に入ると、膝上たっぷりまであった。
Mさんが最初に山スキーヤーのトレースを辿り、その後に父が歩く。
私は、一番後に歩き出すが、当然の如くぬかるのだ。
たちまち大汗をかいていく。
林道の終点まで行くと、そこからはトレースは無い。
ヤジマナ沢を渡り、急登が始まる。
急登に向かう途中で、・・・この辺の下にいるかもしれない・・と言う。
これだけハードだと、この先の獲物の具合によってボーズで終わる可能性も有ったので、
私は父の指図でその場所にいってみた。
杉の袂に居、何とか捕獲。
何とか取り合えずボーズは免れた。
獲ったは良いが、その後の急登の歩きが目茶無茶きつい。
30度近い斜面であるから、腰から上まである。
仕方が無いので、手で前面を掻き出しながら、文字通りラッセルと化し、デンデンムシもどきのように進む。
既に、父とMさんはとっくに先を歩き、小さなピークで休憩している。
しばらくは尾根筋歩きなので、比較的ぬかりは少ない。
しかし、尾根が広くなってくると、ひたすらぬかる。
ネズモチ平の最南端に飛び出る。
目の前には、桜曽根の駐車場が間近に見える。
ここから3人で並んで歩く事になる。
展望台のやや上を目掛けて歩く事になる。
殆ど平らな歩きだが、それさえも息が上がる。
時折小さな沢を越えるが、それもかなりの重労働だ。
そのうちに、大きな沢が現われた。
ここを横切なければならないが、雪が少ないので、雪庇が張り出しており、
なかなか沢下まで降りる場所が見つからない。
降りる事が出来る場所を探さなければならないので、またまたMさんとは距離が離れてしまう。
沢底まで下り、今度は目の前の壁を登る。
なるべく木の有る場所が良いので物色する。
息は上がり、血液に酸素が足らないのか心臓はせり出すようだ。
そんな時、アルコールに似た匂いが吐息から感ずることがある。
40度以上のその斜面を登る最中は、まさにぐちゃぐちゃ状態でとても猟どころではない。
こんな感じの沢を2つ越えると、なだらかな良い感じの斜面になってきた。
と、同時に、腿の裏の筋肉が引きつってき始めた。
これだけ雪が深く、さらに重いと色んな筋力を使わなければならない。
カンジキを、ぬかった雪から抜き去る時に大変な筋肉を使うようだ。
展望台近くで3人が一緒になる。
Mさんも父も、決まって、「今日のウサギははつめどおい!!」
つまり、今日はウサギが利口であるということなのだ。
雪は朝から止む事が無く、ちらちらと降り続き、ネズモチ平らを巻き始める頃には、
かなり吹雪状態に近い天候となっていた為、気温が低かったのである。
夜行性のウサギは、日中は休んでいる場合が多いのだが、今日のような寒い日には起きているか、
若しくは、徹底的に木の袂の奥まで入って出て来ない場合がある。
今日のような場合は、両方のパターンで有り、猟としては良くないパターンであった。
そのうちに吹雪いてきたので、白崩沢の底を歩いて下る事にした。
白崩沢はいつもの年より雪が少ない為か、かなり空いている所があった。
下りと言えども、これだけの深雪の為、極めて疲労度が強い。
ようやく、白崩沢の林道付近の杉林が見えてきた。
林道終点になると、朝方四駆のジープに乗ってきた方々と思われる人が山スキーで下ってきた。
私達のカンジキの踏み跡を発見したのか、奇特にも様子を見に来たりしていた。
基本的には、テレマーカー屋さんであろう。
白崩沢林道の終点には、午後3時半くらいに到着した事から考えると、
テレマーカー屋さん達は、強引にも山頂まで行って来たのであろう。
午後4時近くなり、ようやくホテル大自然館に到着した。
午後から晴れると言っていた天気予報は完全に外れ、大雪降りで、しかも吹雪のおまけ付きであった。
ただ、2月24日に白崩沢林道から浅草岳に行った時よりも、
雪の量が1b近く増えていた事に、なんとなくほっとさせられた。