4月28日 足沢山

かねてより、KさんとОさんよりお誘いを受けていた、太郎助毛猛山山行の日がやってきた。
当初、毛猛山と言う計画であったが、日帰りしか皆が出来ない為、
あまり無理しないようにと太郎助を目指そうと言う事になった。
大白川駅に5時30分の待ち合わせとし、5時45分に足沢入り口付近に車を停車させた。
この時間であれば、十分太郎助山までは行ける時間であるが、生憎の天気である。
ガスも掛かり、雨交じりとなり、目標をさらに下げ、足沢山までということにし出発した。
取っ付きは急登であり、きつい。
救いは、ブナの見事な新緑である。
もっと野鳥のさえずりが聞こえてきていいはずなのだが、クロツグミやシジュウカラの声だけのようだ。
時折、愛嬌のあるキビタキの声をも聞こえたような気がした。
急登を登り切ると、まるで登山道のように綺麗に道が有る。
尾根にはゴヨウマツが林立し、林床はマツの葉に覆われ、風通しが良さそうな感じとなっている。
イワウチワの花期は既に過ぎてしまったが、それでも群落は素晴らしい。
ムラサキヤシオツツジや、ユキグニミツバツツジも開花し始めている。
気持の良い緩登の尾根を過ぎると、少し急になり、やがて雪渓が現われる。
雪とブナの新緑のコントラストが実に見事である。
Оさんはひたすら感激している。
残雪を歩き、正式なルートは正面のやや高いピークとなるのであるが、
マタギの方々の踏み跡を使い、ショートカットする。
普段ならスイスイ行けるのであるが、雪が少ないのでこのヘツリは歩きづらかった。
出発地点から1時間強で足沢の稜線尾根に付いた。
ここから足沢山までは、このだらだらの痩せ尾根をひたすら歩くことになる。
3人居れば、それぞれに色んな持ちネタが有り、会話には事欠かない。
これを1人でもくもくと歩くのであれば、厭になってしまう。
話が途切れる頃、ガスが一斉に上がり眺望が開けたりする。
眺望が開けても瞬間的であり、又元に戻ってしまう。
がっくりしていると、アズマシャクナゲが開花しており、足を止める。
通常、この尾根から太郎助山の険悪なブロックを抱えた稜線が正面に見えるのであるが、
今日は、足沢の源流部分しか見ることが出来ない。
2時間ほど゙歩き続けたので、そろそろ山頂は近いとОさんとKさんに伝える。
山頂直下の雪渓を20分ほど歩き、程なく足沢山に着いた。
檜岳を眺めたいということで、Оさんのツェルトで少し待つことにした。
Оさんは気を利かせてくれ、コンロを炊いてくれ温まらせてもらった。
1時間程粘ったが、回復の兆しはないのでツェルトから出た。
ツェルトから出ると、檜の一部と内檜が見えてきた。
KさんとОさんに、山のおよその位置を説明し下ることにした。
天気はさらに荒れ、雪も混じり始めてきた。
帰りは来た道をゆっくり写真を撮りながら、嵐ような天気の中を楽しく下った。
目的の山までは行けなかったが、花あり、残雪あり、新緑あり、そして何よりも誰も居ない山旅が出来、
良かったのではないかと思う。

美しいアズマシャクナゲ 足沢尾根取っ付きから足沢山を望む(帰路途中より)

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