スノーシュー自然観察日記

1月13日浅草山荘裏
エコミュージアムのお手伝いで恒例のスノーシュー講座は今日から始まった。
まずは履き方から。
それにしても想像以上のディープな雪。
子供達は張り切って深雪に入り込んでいく。
真っ白い雪と少年達の笑顔はよく似合う。
ブナの木の枝には、白い雪が塊となってくっ付いている。
 公園の端までは別の班のトレースと共に歩いた。
子供達はラッセルで急な斜面を登り始める。
雪が乾いているので、直登するとスリップしてしまう。
手も使って登ろう・・と、とにかく登る。
 急な斜面を過ぎると広い大地がある。
全員が雪の上に寝転んで一休み。
少し休んでさらに先へ進む。
チャレンジ精神旺盛な少年達は、トレースのない斜面をラッセルしたいと言う。
ラッセル交代を必ずする事と言い、彼らを先頭に立たせる。
 ウサギの足跡は、走るスピードにより違って見える。
また雪の深さで足跡の形状が違って見える。
途中でテンとタヌキが並列した足跡を発見する。
さらに進むと、テンであろうか、深雪を潜りトンネルを作った痕もあった。
 目的の小ピークに着き、遠い山のカモシカも足跡を見てもらう。
少年の1人がウスタビガの繭を発見。

時間が押してきているので、当初の予定は変更し少しコースを変えほぼ同じ地形を下る。
途中の枯れ枝を折ると、少年達は驚いてくれた。
ふかふかで、何とも言えない雲の上を歩くような感覚が楽しいらしく賑やかに楽しく斜面を下る。
 少年達は午後からは温泉だと言う。
快い雪との戯れの疲れを癒してくれることであろう。

1月15日浅草山荘裏
一昨日と全く同じコースであったが、この日は雪もあまりぬからず比較的スムーズに歩いて行ける。
途中でブナの実を見つけ、休憩しながら食べてみる。
実はOさんが家から綺麗な実を持ってきてくれており、それを子供達に配る。
食べ方を教え、「どう?」と聞くと「美味い!」と言ってくれた。
帰りは、雪の斜面を私がスノーシューで踏みつけ、簡易的な滑り台を作って遊んだ

1月24日浅草山荘裏
今日も昨日と同じく寒い日であった。
雪も深く結構なラッセルとなる。
最初にホウノキがあり、冬芽や葉痕を説明。
急斜面になり、子供達にラッセルを体験してもらった。
急斜面は九十九折にして登るように言うと、超過激な九十九折が作られた。
一旦登るとまるで平行の横へつり道で、下手すると下ったりした道が出来上がった。
誰かがウスタビガの繭を見つけた。
冬には良くウスタビガの繭が見つかるケースが多い。
時間もあまりないので、各班は登り始めたが、私達の反は逆に少しコースを変えて下る事にした。
こういう新雪が深い日には、ウサギの足跡も消えており、谷筋に行けば見られるかもしれないと思ったからである。
下りながらテンの足跡やチャドクガの卵などを観察する。
ブナの枯れ木が傾いている箇所にウサギを発見。
少し遠いので、それを見た子供達は幾人も居なかった。
時間が許せば先回りして、ウサギを子供達の前に追い出して観察させる事も可能であったが、時間がないので致し方ない。
ウサギのカモフラージュ跡を見てもらい、帰りは急斜面をお尻で滑りながら下った。

2月20日浅草山荘裏
 久々にスノーシュー講座に呼ばれ、浅草山荘に行った。
最近、天気が続き雪は硬くなっており子供達もすたすた歩く。
ウサギの足跡を観察する。
ウサギの足跡の近くに糞が落ちており、それを拾い見て貰う。
糞はあくまでも無臭で、ウサギのそれは不潔感は全くない。
しかし、当然それを手にとって見る子供達は居ない。
傍にブナの実が落ちていてそれを拾って食べてもらう。
美味しさはピーナッツ並みかそれ以上である。
 雪の状況は硬いので急斜面でもどんどん登って行ってしまう。
しかしながら、硬い雪の上新雪が積もっている箇所は滑ってしまい、手も使い格闘しながら登っている。
直登でがんがん登ったので、随分早めに着いてしまった。

2月21日浅草山荘裏
朝から天気も良く、絶好のアウトドア日和であった。
今日も子供達と一緒に歩く。
今日の子供達は、あまり興味がないようで、ひたすら疲れた〜を連発。
でも休んで良いと言うと、体力を沢山使って遊んでいる。
山に登るのは疲れて、遊ぶのは疲れないようだ。
山に登ると言う行為そのものが気持ちを圧迫しているのであろう。
途中でブナの木の枝を、ウサギがかじった跡があった。
1人の子供が、「美味いのかな」と言う。
食べてみろと言うと「まずい」。
ウサギももっと美味いもの食いたいんだけど、餌が無いからなんだ。
食べものの有難さを言おうとしたが、やめた。
下りは、ひたすら尻セードで滑りながら浅草山荘まで歩いた。

2月25日浅草山荘裏
夜は冷え込み、朝は雪は凍っていた。
ウサギの足跡も大分古かったが、説明。ついでにウサギの糞も説明。
浅草山荘の公園から破間川ダムが見えた。
ダム湖の雪はひび割れてきだし、随分と春らしい雰囲気になっていた。
五味沢左岸から全層雪崩が出ている。
雪崩が落ちた後のひび割れには、常緑のイヌガヤなどが見える。
真冬でも餌が不足するニホンカモシカは、こういうひび割れの中にある常緑の植物を食べていると説明する。
雪が凍っていて、少し危ない場面もあったが、みんなそれぞれ尻セードが楽しかったようである。

尻セードで滑るこどもたち 開口一番「ああぁ〜、疲れたぁ」

2月28日浅草山荘裏
 夜、ささやかな新雪が降り、動物達の足跡が多くみられた。
ヒメネズミ、ホンドリス、ノウサギ、テン、タヌキ、キツネ、ニホンカモシカなどの足跡が見られた。
引率の学校の女の先生が怖がりで、はしゃいで一番子供のようだったことが印象的。
やはり、今日のメイディッシュも尻セードであった事は言うまでもない。

3月1日浅草山荘裏
 軽い小雨の中、開始。
今日の受け持ちの班は全部で16名。
なんだかみんな静かで、テンション低いなぁ〜、と思ってあとで改めて見てみると全部女の子だった。
ちょっと元気のない女の子達の前に現れてくれたのが、ヒメネズミ君。
20m手前で見ていても、なにやら忙しそうにチョコチョコ動いている。
全員なんとか近くまで近寄る事ができた。
それでも逃げないで、ちょろちょろ餌を探して動き回っている。
女の子達は急いでインスタントカメラで撮ろうとした瞬間、穴の中に逃げて行った。
これを見た子供達は、大分元気になった。

折り返し地点を過ぎ、これからは下るだけだと言うとなぜか元気に。
お土産にウサギの糞でも持って行けば・・と、冗談で言うと本当にナイロン袋に入れていた女の子もいた。
なには無くとも、やっぱり尻セード。
先生もテレながら楽しんでいた。
最後に、ツララの大群を見つけ、みんなで美味しく頂いた。

3月4日浅草山荘裏
 子供達の数は先生含め140名ほど。
今年一番の江戸川区小学生の団体である。
宿泊場所の浅草山荘からぞろぞろ出てきた。
私の受け持ちは全部で19名。
多い。
最初はまじめに説明を聞いている。
そのうちにいつの間にか雪合戦に移行。
雪の弾を作ったり、ツララを食べたり、雪を食べたりと、いつものパターンではある。
とにかく、子供達にとって一番珍しいものは雪以外にはないのである。
雪はそれほどに冷たく、柔らかく、白く美しい。
それだけで、ただただ子供達は楽しいのだ。

3月8日浅草山荘裏
 今年の江戸川区雪国体験教室最後のスノーシューである。
今日は10名ほどだったので、人数掌握が極めて楽であった。
いつもは浅草山荘公園の所を右回りで進んで行くのであるが、今日はムジナ沢スキーコースのルートをそのまま進んだ。
子供達への説明としては、ブナの実やブナの説明。
ウサギの足跡の説明。ヤドリギ。
杉の雄花、雌花。
ウサギの食痕。
巨大に捲き付く、藤の蔓。
ウスタビガの繭、クスサンの繭。
結構まじめな小学生だったので、割と説明に達成感はあった。
杉の木に出来た瘤癌も説明に加える。
大人のお客さんも、こんな具合でスキーをやったりスノーシューをやったりしてくれるお客さんが居たら、良いだろうなぁ〜・・とつくづく感じた。
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