1月28日 ウサギ狩り
朝のうちはまだ小雪が混じっていた。
所用を足していると、青空がぐんぐん広がり絶好のウサギ狩り日和となった。
既に昼近い時間だったので、軽く昼食を摂りシロを連れて車で出かけた。
今日の猟場は、スキー場の近くの杉の植林地一体である。
ちょうど良い所で車を止め、道路脇の雪の壁をよじ登ろうとするが、スコップがなければ雪壁が高すぎて登ることができない。仕方がないので、スキー場のゲレンデ近くまで行ってから入ることにした。
今日は、雪がかなり深いと予想し、カンジキではなく大き目のスノーシューで行くことにしていた。
やはり予想通り、かなり深雪は深い。シロも先導しようと前に出るが、ヒーヒーと悲鳴をあげ直ぐ根をあげた。
雪が深いこともさながら、とにかく疲れる。小まめに息を整えながらでないと進めない。単独猟では、ラッセル交代はない。
ほんの標高差にして100mあるかないかの所を、約1時間かけて登る。かろうじて平らな小ピークに着く。
ウサギの足跡は割とあったが、複雑に絡み合っていて、カムフラージュ痕はよく解らない。得てしてこういう足跡が混ざり合った所では、ウサギの泊まりの可能性はあまりないという判断で気を抜いていた。
二頭のウサギが視界内に入ったが、木が邪魔で間に合わない。シロのうるさい吐息と、スノーシューのキコキコと言う音で、真っ先に飛び出してしまった。まさに、「たぶん居ないであろう」という油断が招いたミスである。
シロは何かの臭いをかぎつけたらしく、なかなか来ない。そのうちにワンワンと大きな声で吠え始めている。
一箇所、先ほどのところにカムフラージュ痕のようなものがあったが、そこに未だウサギが残っていたのであろうか?だとしたら、相当ツキのない猟日ということになる。まして、いくらなんでもそれをワンワンと吠えてしまえば、近くにいたウサギも散らばってしまうであろう。
案の定、沢筋からウサギか対岸の斜面を走っている。かなり遠いが一矢放ってみる。遠いためパターンが広くなりすぎ、ウサギは苦もなく逃げて行った。遠いが一矢放った。かなり良い所を狙っていたので、もしかしたらと言う期待もあり、遠回りしながらその場所へ行って確かめることにした。だがそこまで行くのにも、相当難儀をしないと行けない。
斜面を登って行くと、ウサギの足跡は殆ど見られなくなった。登りきった所は平らな場所である。そこに多少のウサギの足跡が見られた。よく観察すると、T字型に足跡が分岐している。典型的なカムフラージュ痕にしては跳躍痕が見られない。だが、足跡が途中で切れ、後戻りしている部分が二箇所見られた。背後から迫ろうと思ったが、駄目元で前方から近寄った。杉の袂に発見しようやく一頭捕獲。処理しながら、シロに腎臓2個と肝臓の一部を与える。
帰る途中、ヤマドリの足跡を発見。ヤマドリが水を飲みに来ているのであろうか、沢筋に沿い登っている足跡があり、それを辿る。沢がぽっかり開いている箇所があり、足跡はそこに入り込んでいるようだ。「おい」と声を出すと、ダイナミックな羽音をたてヤマドリが飛び立った。連射で三発撃つが、早過ぎて対応できず羽毛を少々かすめたのか、羽が少し雪面に落ちていた。いずれにしても全体的に集中力に欠けていた日であった。
既に猟欲はなくなっていたが、猟場であるから一応心の準備だけはしながら下っていく。
途中、杉の木に雪が被っている所に足を取られ転倒。スノーシューはすっぽりと奥に嵌り込んでしまっていた。
まだまだ雪が足りない状況である。スノーシューを手で掘り返し、装着。下りではスノーシューの踵部分に雪が付き、歩きずらい。とにかく深雪が深い日であった。下りの歩き難さもあるが、今日に関してはスノーシューでなければ活動はできなかったと言えよう。
単独ラッセルではである。