4月27日 大川ガッチ〜駒の神
大川ガッチとは、先のレポートにも書いてあるように、守門岳袴腰と黒姫の稜線一体をいう。
この日のメンバーは、リーダーのM氏とH氏、信さん、オヤジ、段さん、そして俺の6名であった。
1週間前に大川ガッチに至っているので、「あと、1週間」という期間が経過した為そこを本日のシシ山とした。
1週間ぶりの下黒姫沢の林道は、大部雪が溶けていた。
新緑も美しく、夏鳥達のさえずりも盛んになってきている。
特に、オオルリは綺麗な声でありながら、且つ、ショッキングブルーで美しい。
金属的な鳴き声なので、一発で、それとわかる。
黒姫林道を20分ほど歩くと、段さんは憚りに藪に入っていった。
私も、何か、ザックに忘れ物をしたような気がして、歩を止める。
先日のザックと違うザックを携行したので、金カンジキを忘れてしまった。
憚り段取り中の段さんに、金カンジキをとりに行って来ると言う。
林道を走りながら、考えた。
もしかしたら、車の中にあるかもしれない!?
当然、あるはずだ。
車の中には、昨日の60gのザックがそのままの状態で突っ込まれている。
再度のチャックを開ければ、ちゃーんと入っている。
金カンジキを鷲づかみにして、ひたすら、皆に追いつくべく歩く。
林道の終点から、下黒姫沢の右岸の斜面に取っ付いた踏み跡が有るので、踏み跡に沿って歩いて行く。
ブナ林に入ると、直ぐ皆は休んでいた。
一緒に休み、タバコを吹かす。
下黒姫沢は、2か所ほど、沢を渡らなければならないほど雪が少なかった。
沢の雪が安定してくると、前方に巨大なデブリが見られた。
毎年、ここから70才をゆうに過ぎた近所のおばあちゃんと山菜採りに行くのだ。
デブリを通過した所で、毎度おなじみの、双眼鏡眺めの儀式が始まる。
シシはそう簡単には見つからない。
昨年、あそこで獲ったから、とかと言う根拠は何もないのだ。
いつもの、下段、中段と眺めながら上段まで到達する。
上段まで来たら、オヤジとMさんは、そのままエラオトシ沢の左岸尾根を登り、大川ガッチへ至ることとなり、私とHさん、段さん、信さんは、通常の黒姫春山スキールートで大川ガッチに至ることになった。
大川ガッチに上がると、冷たい風が吹き始めた。
私と信さんは、雨具を着込む。
私は、この時点で、今日もシシ山は無理だろうと思っていた。
自分の参加するシシ山はことごとくぶち壊れている気がしたからである。
やがて、遠くから「ポーン、ポーン」と銃の音が聞こえてきた。どうやら、隣村のシシ山の音らしい。
しばらくして、リーダーM氏から、連絡が入った。
「ねらの前っけたへ、シシが居るぞ!解からんか?」という連絡であった。
信さんは、丁度50歳を迎えた中堅である。
シシ山歴は大変長い。それに、地形にはめっぽう詳しいのだ。
信さんと、リーダーのMさんはシシをどうやるか、話し合っていた。
その頃、既にHさんは、場所を変えて、破間川の源流部分まで来ていた。
我々はなんとかシシの居る位置を確認していたが、どうも色が黒っぽくなく、足も少し細いような気がする・・・と話していた。
Hさんの位置からはシシは確認出来ないようだ。
Mさんは、Hさんに、シシの居る位置を、おおよそ説明し、どういう風に捲きを作るか連絡を取り合う。
段取りが決まり、我々3人は、とり合えずMさんとオヤジの居る位置まで行くことになった。
Mさんは、更にHさんと合流し、捲きの位置を決めろと言う。
今日の真山はオヤジがとる事になった。
私と、段さんは、Hさんと合流した。信さんは、すでにオヤジの真山の受けに位置している。
Hさんは、勢子の段さんに勢子指示を出し、私と共に烏帽子山と守門岳袴腰の稜線へと移動を始める。
親父の真山の隣の尾根に待機するよう、言われる。
その時である。シシが動き出した!と連絡がある。
Hさんは、私に来い!と手招きして、雪の斜面をへつりながら走り始めた。
どうやら、シシは次の尾根に移動したようだ。
更にHさんは走る!走る!、年が約20も違うのになんという体力なんだ!?
次の尾根に着いた時に、シシの黒い塊がちらっ!と見えた。
すかさず、Hさんと私は、腰の位置を低くする。
Hさんは、取り合えず、私に対して待て!と手で抑える。
急ぎながら、シシに悟られぬようにH氏は、シシの上へと移動して行く。
しかし、Hさんに感ずいたのか、シシはどんどん対岸の斜面に猛スピードで走り始めた。
シシの移動にはHさんの所から、数秒間解からなかったのだ。
残念ながら、シシは隣村の方面へと逃げていってしまった。
Hさんは、シシの逃げた方向を確認しに、烏帽子山稜線へと向かって行く。
Hさんから、私に、同じルートを帰るように連絡がある。
Hさんが、元来た道を帰ってくるまでは、大部時間が有るので、どうせならと、駒の神まで行って見ようと登り始める。
袴腰と駒の神の間のだるみ部分のカールに出た。
結構広いカールだ。
稜線を歩き、駒の神に達する。
駒の神から、やや黒姫方面に進路をとり、そこから下黒姫沢方面へと下ってゆく。
Mさんが着いて、文句を言いはじめるが、結局、隣村の銃声でシシが動き出してしまったということになった。
最長老の家で、簡単な反省会をし、明日は左沢の大曽根方面へ行こうと言うことになった。
2002年山歩き
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