4月28日 左沢大曽根

この日は、若干メンバーの入れ替えがあった。
オヤジが肉体的理由で退き、替わって、前回参加した若手のホープ直君と、中堅の春さんだ。
最近、めきめきと腕をあげている直君と、射撃の名手、春さんが参加と言うことで実に心強い。
ルートは、前回4月23日のコースと全く同じコースを歩いて行く。
途中の眺める場所が有る、中曽根で、M氏と段さん、春さん、信さんが、田代平らへ続く林道より田代山からやや左沢よりの尾根を目指す。
私たち、いわゆる「足の強い?」グループは、左沢の湿地帯からみちぎ沢を経由して、左沢の大曽根に取っ付く行程であった。
このコースは、最高地点が1,000bほどであるから、アプローチが長く、標高差は稼いでいるのか解からないほどである
色々、Hさんに聞くと、Hさんは何倍も色んな話をしてくれる。
直君は、しきりに立ち止まり、双眼鏡で一生懸命シシを探している。
色んな話をしながら、歩いていると、余る疲れることなく左沢の大曽根に到着した。
この間と同じように、木の根沢の源流部分の、木の根沢方面を眺める。
我々が大曽根に到着して、30分ほど経過した後、リーダーグループも到着したようである。
リーダーグループの尾根から、我々の居る地点までは、時間にして1時間30分は掛かる距離である。
リーダーグループの眺める斜面で、シシが現れるという見積もりであるので、その場合、我々がリーダーグループの方面へと移動しなければならない。
したがって、この我々が居るコースを歩くには、「足の強い」人間が必要なわけだ。
1時間ほど経ったであろうか、向こうの信さんからM氏にシシらしきものを見つけたと連絡がある。
耳に入る情報を元に、あちこち眺めてみるが、どうも場所が良く解からない。
そのうち、最長老が左沢まで来ており、そこからも「シシが木に登っている」と連絡がある。
信さんの情報は不確定らしく、最長老のシシを獲ろうということになった。
この場合、リーダーグループがこちらの方面に来なければならない。
ちなみに、シシの居場所は、我々の居る場所に実に近かった。
リーダーグループが到着するまでは、1時間30分も掛かるので、我々はこの場所で待機していなければならない。
その間にHさんが、近くの小さな尾根まで行ってシシを確認してくると言う。
Hさんが尾根の突端まで行くと、シシの位置はここから相当近いところらしい。
約2時間近く掛かって、ようやくMさん達が到着した。
春さんは、久々の山でなかり疲れているようであった。
皆が1箇所に集合し、捲きの手順が決められる。
今日の捲きは、地形がゆるやかである為、非常に難しい。
目当ての場所が取れないのだと言う。
しかし、およその段取りが決まり、Mさんと段さんが勢子兼目当てグループとなり、あとはHさんの指示で各部署についた。
この日の真山は、春さんである。春さんの受けで私が右に付いた。
春さんの左隣に信さんが付き、その次に直君がついた。
Hさんは、受け勢子的な役割をするらしく、左沢の真沢に逃げ込まないよう位置を確認する。
シシが真っ直ぐ上がれば、信さんが真山になったりするし、直君にもチャンスはある。
段さんが鳴りはじめた。
シシは、真っ直ぐ信さんの方面へ上っていくようであった。しかし、直君の気配に気付いたのか、藪を絡み、春さんと私の方面へと移動してきたようである。
Mさんも、藪で目当てどころではないので、一転、受け勢子と化し、勢子鳴りを始める。
段さんが中央から、シシを真上へ鳴り上げ、受け勢子となった、MさんとHさんが、真山の春さんの方へシシが行くように追うのである。
シシは随分近くなってきているようだ。
私の方へと向かってくる可能性も十分ある。
突然、春さんの銃声が続けざまに3発鳴った。
かなり近い!ふと横を見ると、シシがチラッと見えた。
しかし、春さんが直ぐ傍なので、迂闊に近づけない。
少し間を置いて、斜面に出てみると、シシはすでに数100メートル離れた別の斜面を横切っていた。
慌てて、私も発砲するが、遠すぎて話しにならない。
結局昨日に続いてシシは無傷で逃げることに成功した。
春さんは、皆に詫びたが、ブッシュが混ざっており、条件は良くなかった。
山を後にしたのは、4時を過ぎており、車の所に着いたのは、すでに六時半を回っていた。

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