5月6日〜7日 六十里越大鳥沢〜前毛猛山〜毛猛山
〜大鳥岳〜赤柴山〜未丈が岳〜日向倉山〜銀山平
コースタイム
5/6六十里越大鳥沢3:25 前毛猛山4:45 前毛猛山発5:00
前毛猛山〜毛猛山間鞍部近辺5:15 毛猛山山頂9:00 毛猛山発9:20
一ノ沢山手前鞍部10:15 一ノ沢山10:45 二ノ沢山11:40 大鳥岳12:20
大鳥岳発12:55 赤柴山直下14:30
5/7赤柴山直下発4:40 未丈が岳手前鞍部5:25 未丈が岳6:40
未丈が岳発7:10 奥只見丸山スキー場ジャンクションピーク8:00 日向倉山9:20
シルバートンネル銀山平口10:35
以前より豊栄山岳会のNさんと、この山行をやろうと計画しており、その実施日が来た。
また、地元のО君も休みなので是非参加したいとの事で有り、一人増員し尚の事心強い。
朝の3時に大雲沢ヒュッテを出発し、大鳥沢入り口にNさんの車を停め、ヘッドランプで歩きはじめる。
前日、この沢の入り口付近まではNさんと共に偵察済みであった。
沢は所々開いているものの、水量も少なく、快適だ。
10分もすると、昨年何回か単独で訪れている大滝が有った。
左岸よりの踏み後を探しながらО君が先頭で捲きに入った。
目印の大きなコシアブラがうっすらと見え、そこを目指すよう言う。
やがて、踏み後にのったとО君は言う。
すぐまた沢に下り、ひたすら沢の雪渓を歩いてゆく。
昨年トラバースした、細いナメ滝のような箇所も、両サイドが急傾斜な為か、
分厚い雪に包まれていて危険はない。
そこを詰めれば、前毛猛山はすぐそこに見える。
山頂を踏む必要無しと、トラバースをしようとするが、雪が無く、ほぼ山頂目掛けて登る。
なんと、大鳥沢入り口から1時間20分で前毛猛山に到着した。
相当早く着いて、時間調整に銀山平の温泉に浸かって行こう・・などとジョークも飛びだす。
15分ほど休憩し、5時に前毛猛山を出発した。
前毛猛山から1000m弱の鞍部までは、雪も所々残り、僅か15分ほどで着いた。
昨年、Nさんと逆コースから六十里越に下山しているが、
その時は毛猛山から前毛猛山までは、約3時間で到着している。
従って、5時に前毛猛山を出れば、毛猛山には8時頃着いてしまうだろうと私が言う。
Nさんは冷静に、逆ルートは標高差があるからプラス1時間は必要という。
いずれにしても、当初の目的の9時には何とか着けそうな感じだ。
気象条件は晴れとなっており、山旅には絶好のコンディションの筈なのだが、
毛猛山に向けての登りでは暑さが堪え始めていた。
さほど酷い藪こぎは無かったが、暑さの為かペースはゆっくり目であった。
9時ジャストに毛猛山に到着した。
以前であれば、ここで感慨にふけるのだが、今日はこれからがメインである。
距離的に考えれが、1/3に満たないのだ。
少し休憩し、9時20分に毛猛山を出発した。
毛猛山直下は藪に覆われており、100mほど藪を下る。
前方には一ノ沢山がそびえている。
ちなみに、一ノ沢山と言う名称は通常の25,000分の1地図には明記されておらず、
藤島玄著の「越後三山・只見集成図」からの引用である。
一ノ沢山は、標高1215mとなっており、毛猛山からの直線距離はおよそ3km。
鞍部は1000m強である。
毛猛山から一ノ沢山までは、1時間25分要し、10時45分に到着した。
一ノ沢山以遠は、二ノ沢山、三ノ沢山と続いており、この辺の地形はО君が詳しい。
О君は銃所持者ではないが、親戚の方がマタギをしている関係で、
黒又沢界隈を熊狩りでかなり歩いている。
聞く所によると、赤柴沢左岸の四十峠近辺で目当てをし、
鉄砲場は一ノ沢や二ノ沢の中腹に設定して猟を行っているという。
いつもなら反対側からこれを眺めているらしく、何度も頷き感慨深げだ。
一ノ沢山を過ぎると二ノ沢山、三ノ沢山と続いているが、藪がひどい。
暑さで首筋や顔がびりびりしてくる。
たぶん気温は相当に上昇していると思われた。
一ノ沢山から二ノ沢山での距離は、僅か1kmで有り、標高差も大してないが、
藪がひどいため小1時間要する。
二ノ沢山から三ノ沢山を経由し、大鳥岳までは、雪渓に恵まれ順調に歩けた。
大鳥岳で大休止することにした。
この頃から私自身の体調に変化が見られ、くらくらする感覚が有った。
ゆっくりと皆が休憩し、35分もの大休止となり、大鳥岳を12時55分に出発した。
大鳥岳から赤柴山までの間は比較的ゆったりとした太い稜線で有り、雪も丁度良く付いていた。
どうも呼吸が追いついてこない感じだ。
Nさんに先を行ってもらう。
途中一箇所藪が有り、そこでくらくらしてきたので構わず休む。
その場で30分ほど休み、多少の余裕が出てきた頃、О君の声がした。
今行く・・と大声で答え、歩き始める。
NさんとО君と合流し、大丈夫か?・・の問いに、正直言ってヤバイ・・・と返答。
赤柴山はすぐそこに見える場所で、とりあえずゆっくり休みたい旨申し出る。
休んでいる最中、午後3時だとの時刻を誰ともなしに言う。
何れにせよ、これから銀山平まで下る自信は100%無いと答える。
考えてみれば、この10日間、仕事は忙しく続き慢性の睡眠不足の日が続いており、
疲労もピークになっていた。
ましてや、この日も二日酔いと2時間弱の睡眠でさほど寝ていない。
過労と、暑すぎる気象や色んな悪条件が重なったようだった。
とにかく、こんなに疲労したのははじめてであった。
ツェルトの準備をし、ビバーグとなった。
日が落ちた頃、О君は眠りに落ちていた。
午後8時を過ぎた頃、ようやく私の体調は元に戻りつつあった。
後は睡魔を待つだけであった。
しかし、それはなかなかやってこない。
休憩中はあれだけ舟漕ぎをやったのだが、今は全く眠気の欠片もない。
時折、愛想にあくびが出るのみだ。
明日の予定を考えても、およそ5時間強は必至だ。
もしかしたら、時折眠っていたのかもしれない・・・が、たぶん一睡も出来ていなかったのだろう。
9時、10時、11時、・、・、・3時と、それぞれに時計を見ているから、殆ど寝ていないと思われる。
Nさんも朝方より寝息が聞こえてきており、そこそこ眠ったようであった。
3時を過ぎた頃より、冷え込んできて、とても寝れる状態ではなかった。
殆ど寝ていないが、体調は大分感じが良さそうだ。
しかし、心配していた睡眠が全くといって良い程取れなく、それが不安材料であった。
4時を回り、回りが白み始めてきた頃出発の準備を開始した。
4時40分にスタート。2人とも気を使い、私が先頭で歩きはじめる。
野営箇所は赤柴山直下であったので、赤柴山山頂まではものの15分ほどで到着。
そこから約150mの藪の下りで鞍部となる。
鞍部からもしばらくは藪こぎとなり、途中で雪渓を歩ける場所となる。
大鳥池近辺まで来ると、地形はのっぺりした感じになり、未丈が岳はすぐそこに見える。
ゆっくり無理をせず歩を進め、赤柴山直下の野営地点から約2時間で未丈が岳の三角点を踏む。
未丈が岳から先は、日向倉山を経由し、銀山平に下る予定であったが、
一方で、未丈が岳の夏道を下る事も想定していた。
なんとか私の体調も戻りつつ有り、30分ほど朝食休憩をし、予定通りのコースを行く事になった。
そうは言っても、日向倉山までは3回ほどの登り返しを行わなければならず、思ったほど容易ではない。
未丈が岳から先に見える三角山が、奥只見スキー場へと尾根が伸びているジャンクションとなっている。
山全体がまるで藪になっている。
大鳥沢方面に捲いて行けば、藪を通らず済みそうである。
Nさんは、きっちりと稜線の藪こぎを選択し、私達より若干送れた程度ですぐに追いついた。
1376mのジャンクションピークからさらに150m下り、そこから1431mの日向倉山への最後の登りが待っている。
Nさんは、確実に稜線を選択し、じっくりと登っていく。
丸1日以上一睡もしていない体と、昨日のバテで私自身も多少疲れが出てきた。
私とО君は、なるべく藪を歩きたくなかったので、ブロックのズタズタ部分を拾いながら日向倉山まで登った。
結局、こんなケースは得てして堅実に登った方が早いと思われ、案の定、Nさんの方が早かった。
日向倉山では、大して休まず、眼下の銀山平を目指した。
なるべく大雲沢ヒュッテのバスが置いてある所に真っ直ぐ下りたいので、赤崩山方面の稜線を辿り、
シルバートンネルの銀山平出口目掛けて下り始め、途中で沢に入った。
赤柴山直下の野営地点から約6時間、目的地に到着した。
今回のこのコースは、予想以上に藪が多く、困難を極めた。
インターネット上で調べたデータも、ほとんどが2泊程度の計画で有り、時期も4月中が多い。
それを日帰りでやろうと言うのだから、私のような並みの体力ではやはり難しかった。
ただ、日帰りで仮に出来たとしても8時9時は必至だったろうと思うと、
2人には申し訳ないが野営一泊が妥当ではなかったかと思う。
今回の山旅では、日頃特に鍛えていない私の管理の甘さも有った。
スポーツ生理学に詳しいNさんの指摘にも有るように、そういった事のトータル的なことを学習する必要もある。
О君とNさんにとっては、いささか消化不良の山旅で有り、私も苦い山旅であった。
踏破した喜びよりも、体調不良の中、無事帰ってきたことに安堵している。
シルバートンネルを抜けると、懐かしい人里の景色があった。
画像集
前毛猛山付近から毛猛山へと続く稜線 | 毛猛山へ続く稜線の痩せ尾根で休憩 |
毛猛山山頂からの檜岳の雄姿 | 毛猛山山頂から果てしなく延びる 未丈が岳への稜線 |
大鳥岳山頂付近より見る未丈が岳 | 未丈が岳途中からの赤柴山 |
未丈が岳から見る、歩いてきた稜線 | 日向倉山から見た未丈が岳 |
お世話になったО君(右)とNさん | 今回足を引っ張った私(←)とNさん |