10月13日 守門岳道標付け作業登山

 この間、布引の滝遊歩道近辺の道標を付け、さらに後日、浅草岳六十里越登山道下部の道標付けを行った。
あと残りは、守門岳エデシ尾根の布引の滝入り口と田小屋道分岐点の2本残っていた。
朝のうちは、さしたる雨ではなかったが、車から降りると結構な降りとなっていた。
雨具を着るのは嫌いなので、出来れば着たくなかったが、気温も低く着る事にした。
今日は、登山者も居ないと思い、シロを同伴した。
シロは手綱を放すと、鉄砲玉の如く疾走して登山道を掛あがって行く。
彼のような体力が有れば・・と思う。
ザックの荷物は大した荷物も無いので負担にはならないが、雨具と道標とスコップが意外に堪える。
急登の途中には、食用キノコが生え始めており、帰りに採ろうと思う。
雨は徐々に本降りとなり、嫌気が差してきた。
エデシ尾根の布引滝分岐に到着し、作業を開始する。
土を掘り始めるものの、石が多くなかなか進まない。
それに木の根が絡み合い、ことさら難を極める。
何とか少しづつ堀り、道標が埋まる深さまで掘る事が出来た。
道標を入れ、足で踏み固めた。
多少不安定だが、もう少し時間を置けば、多少なりとも安定してくるであろう。

エデシ尾根を登って行くと、徐々に紅葉が目立ち始め、なかなか見事なものである。
そう言えば、意外に紅葉の時期の登山は今まであまり無かった気がする。
気温も適度であり、体力的にも順調に登れる。
途中の尾根に、なんとイワカガミが数本咲いていた。
桜の狂い咲きと言うのは良く聞くが、イワカガミが今頃咲くと言うのは、初耳であるし、初めて見た。
雨とガスで回りは見えないが、紅葉の美しさが際立ち、思いのほか結構楽しんでいる自分がいる。
 この頃のシロはかなり従順で、少し歩くと必ず私の来るのを待つようになっている。
ついこの冬までは、呼んでも帰って来ないまさに鉄砲玉であったが、最近は違う。
 沢を越え、田小屋分岐に到着と同時に作業を開始した。
一見、造作もなく掘る事が出来そうであったが、ことごとく石があり、少しづつ石を除去しながらゆっくり所定の深さまで掘った。
石の多い土なので、別の田小屋方面の軟らかい土を回りにまぶし、良く踏み込む。
 折角ここまで来たからには、山頂をハントしないと気が済まなくなってきた。
剣スコップをデポし、シロと向かった。
三の芝のヌマガヤ草原は見事な色合いの草紅葉となっていた。
周りには、何もない大雪原の白の世界。
みずみずしい生命の新緑の世界。
たくましい緑と、色とりどりの花の世界。
モザイクに散りばめられた、紅葉の世界。
四季折々の季節を惜しげもなく、披露してくれる守門はやはり良い山なのだ、・・そう思う。

 シロは下半身泥だらけになり、雨に濡れ、時折雨を振り払っている。
それでも、カモシカのマーキングの臭いでもするのか時折鼻を藪の方に向けている。
山頂直下の山道は錦のトンネルになり、いかにも秋の風情を感じさせてくれる。
もう直ぐ山頂・・脈拍を150まで一気に上げ、ほどなく山頂に着いた。
運動を止めると直ちに脈拍と呼吸は一気に下がり、寒くなってきた。
握り飯をシロと分け合い、貪り食う。
守門の山神に祈りを捧げ、下山に掛かる。
下山途中、やはり目は紅葉に奪われる。
白っぽい黄色のコシアブラ、明るい黄色のミネカエデ、やや茶色がかったブナ、鮮烈なヤマウルシの赤、
マルバマンサクの黄色とワイン色の赤、悪天候にも拘らず、暗い山道が明るく見える。
紅葉の空間は、空気も硬く透き通っている。
各色の葉と葉の間の空気が、澱み無く澄み切り、感傷が漂う。
色合いの狭間の、崇高で汚れの無い透明な空気が私は大好きだ。

スコップをガラガラ引きずり、紅葉を鑑賞しながら下った。
途中、夥しい食菌が見られ、スコップを放り投げ藪の中へ分け入った。
視線を動かすと、いくらでも有る、有る。
地面や木から、このひょうきんでけったいな物体がニョキニョキ出てくるのであるから、面白い。
なんだかんだと欲が出て、結果大収穫であった。
 道標付けが主目的であったが、紅葉鑑賞にキノコ狩りにと充実した日であった。

三の芝の草紅葉 水場手前の山道の紅葉
トンネル状の山道 小雨の中の見晴らし台を歩くシロ
宝石のようなナメコ

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