3月1日 下権現堂山 3名

小千谷のMさんからお誘いの電話があり、Kさんと3人で行く事になった。
空は泣きそうな感じで、雪も少し降り始めていた。
今は営業されていない、アクシオムスキー場跡の別荘地の近くに車を停車させ準備を始めた。
私とKさんはカンジキだが、Mさんはスキーである。
電話によると、新しくテレマークスキーを買ったそうである。
どんな物か見せてもらおうと、Mさんの車の所に行ってみた。
テレマークと言うと、クロスカントリースキーのしくじりのような、華奢なイメージが有ったが、今はそうではないらしい。
全体に横幅があり、ゲレンデ用のカービングスキーにかなり近い代物であった。
板と、ビンディング、ブーツ、と合わせて10万円だそうである。
ゲレンデスキー用の上級者用であれば、そのセットだと軽く15万円は下らぬであろうから、
それに較べるとまだましと言う事になるのであろうが、・・・いずれにしても安いとはいえないようだ。
 Mさんは、何かと準備が掛かるようなので、私達に先に行ってくれと促した。
私とKさんは既に準備が出来たので、ゆっくりと先に向かう事にした。
リフトの搬機は外されているが、支柱やその他の機材は廃棄される事もなく、そのままの形で残っている。
かつて賑わったであろうこのスキー場も、所々若者達が、ジャンプ台などを作って楽しんだであろう跡が残っているのみだ。
昨年、小出町の日本山岳会所属のSさんが執筆された岳人の記事に、
このスキー場から登り下権現堂山に至るコースを山スキーの初級コースとして紹介した事があった。
それ以来、割と登っている人も居るようである。
したがって、テレマーカー屋や、スノーシュー、ボードなど、割と色んな足跡が入り乱れているようである。
 だだっ広いスキー場の中を登っていると、感覚が麻痺してくるのか、ペースも知らず知らずと早くなってくる。
第1リフトを過ぎ、第2リフトの乗り場を過ぎた辺りで、少し疲れてきた。
Mさんを待つ間、少し休憩する。
さすが、30台のMさんは息を切らしてはいるもの、容易に私達に追いついてきた。
息を整え、第2リフトの急斜面は迂回路を通る事にした。
第3リフト乗り場に近くなると、200mくらいの所にニホンカモシカが佇んで居て、3人でそれを眺めた。
反芻している様で、じっと動かない。
隣の小沢では、姿は見えないが、ミソサザイが爽やかな声で鳴いている。
 「1本立てますか!」と、Mさんが言うので、第3リフト乗り場付近で休憩する事にした。
この辺から雪は硬くなり、カンジキでは少し滑り気味となった。
私が先頭で、ジグザグに進んだので、かえって横ヘツリとなり、滑ったのかも知れない。
やがて第3リフトの終点が見え始め、奥に下権現堂山が見てきた。
「あと1時間くらいかな」と誰ともなしに言うと、「いや、あと1時間半位は掛かるだろう」と、それぞれに憶測する。
Mさんに先頭交代してもらうと、ぐんぐん飛ばす。
途中で私が交代し、「俺はゆっくり行くよ!」と予め断って歩き始める。
なるべく急斜面にしたくないので、九十九折状にして踏み跡を作っていく。
大分山頂に近づいてきたのであろうが、既に山頂はガスで見えなくなってしまった。
「この辺が戸隠コースとの分岐だ!」M氏が言う。
私は実は権現堂山には、1回しか登っていなく、この戸隠コースから上権現堂山までをピストンしたことがあるのみであった。
その分岐点は、なんとなくこんな感じであったと、多少記憶に残っていた。
「この辺に鐘が有る位置なのだが」とM氏。
多少の休憩も含め、2時間30分で下権現堂山に着いた。
聞けば、このコースが一番距離が長いらしい。
「この下の窪みで、軽く飲って行こう!」と言うので、少し下る。
Kさんは、いつもの色んな御馳走を持参してくれ、おでん等を御馳走になった。
また、Mさん持参の高級ワインをコップ2杯も頂き、寒いが体全体が弛緩してくるのを感じる。
「暖かい所で、楽々飲りましょう」と誰ともなしに提案し、一同下山準備を始める。
Mさんは、スキーで下るので、準備が必要な為、私とKさんは早めに歩き始めた。
山頂直下の痩せ尾根の所が、割れ目が開いており、そこだけ注意した。
数日前の雪で、割れ目が隠れている所が何箇所か有った。
そのうち、「テレマーク、雪山初デビュー!!」等と、喋りながらM氏が酔っぱらったような口調で滑ってきた。
M氏はテレマークスキーを一昨日、衝動買いしたそうだが、昨日は妙高のスキー場に練習に行ってきたそうである。
1日スキー場で練習したにも関わらず、何年もテレマークスキーと格闘している人より数段上手い。
以前のレポートでも紹介しているのだが、彼は○○級とか、そういう資格などは丸腰であるが、実力はそれ以上なのである。
器用に谷スキー主導のテレマーク姿勢を取り入れ、滑っている。
彼のテレマーク姿勢は、共するとテレマーク姿勢があまり無く、前後差もあまり無いように一見見える。
しかし、ターン中はむしろその方が効率的なエッジングが可能なのだ。
膝などの関節を、曲げ過ぎれば、おのずとスキーに力が伝えづらくなる事は明白だからである。
しかし、彼だからそれができるということ・・・なのであろう。
ターン中は上手いのだが、停止は今までのゲレンデスキーと違い、しっかりとテレマーク姿勢を保って停止しなければならないので、そこら辺がまだまだ課題のようである。
 私とKさんは、世間話をしたりしながらゆっくりと下った。
下りは、ゆっくり下ったつもりであったが、雪の上の下りは時間が掛からない。
 車の所に着き、温泉に寄ろうと言う事になり、白石温泉に向かった。
白濁した温泉は、一気に疲れが取れる気がした。
風呂からあがり、ドリンクを飲みながら二次会モードに突入してしまい、2時間近くも騒いだ。
山も楽しく、帰ってからの温泉二次会も楽しくと、なかなか有意義な山行きであった。


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