7月8日 浅草岳

 或る所から、地元の山の案内人を頼まれ行く事になった。
桜曽根駐車場からお昼頃出発する。
登山道の脇のリョウブの新芽などは、この暑さで一斉に伸びている。
大した登りではないのだが、暑さが強烈で、汗がぼたぼた落ちる。
私の後を歩く団体さんも、「暑い暑い」と皆口々に言っている。
20分から30分に1回の割合で、休憩をとって登る。
ゆっくり休憩しながら登れば、意外に山は近いものである。
勿論、時間は掛かるが余裕が出てくるため、その割に早く着く感じがする。
 樹林帯の山道脇には、ツルアリドウシが可愛らしい2個の花を付けている。
「これはなんですか?」と、幾人かの人に同じ質問をされる。
私にはありきたりの植物ではあるが、この山域に初めて足を踏み入れる方々ばかりであるから、このツルアリドウシでさえも珍しいようである。
しかし、話題の中心はいつも「花」である。
そこに樹木の話題や、すぐ傍で聞こえる野鳥の質問は皆無である。
真昼間でありながら、クロツグミ・アオジ・クロジ・コルリ・などの野鳥が派手な鳴き声で迎えてくれる。

嘉平与のボッチからのヒメサユリは、ことごとく終了していた。
代わってホツツジが穂を立ち上げている。
それでも、奥手のヒメサユリがポツンポツンと花を付けてはいる。
ここのところの暑さ続きで、一気に開花が進んだ模様だ。
嘉平与のボッチを過ぎるとモミジカラマツが一斉に花をつけているのを見る。
ムジナ沢源頭部辺りから、草原にはトキソウが目立ち始めており、盛りとなっている。
地味で幾分白っぽい色ではあるが、味のあるバイプレーヤーぶりを発揮しているという図だ。
ネズモチ登山道のジャンクション付近から前岳にかけては、コバイケイソウが咲き始めているものもあり、イワカガミ等も見られた。
雪が消えたばかりの所には、ミツバオウレンや、ミツバノバイカオウレンが新鮮な趣を発している。
やはり白い色の花は、話題性に薄いようである。
 前岳直下の雪渓は、何とか百メートル近く存在した。
イワイチョウやワタスゲも見られ、そこそこ花は見られた。
ヒメサユリもところどころ鮮烈な色合いを保ち、草原にアクセントを加えている。
木道脇のツマトリソウ群は今はない。
代わって至る所にキンコウカの黄が目立っている。

約2時間で山頂に着いた。
添乗員のガイドさんと相談し、入叶津登山道の天狗の庭辺りまで行ってみようということになった。
ここでは未だヒメサユリはそこそこ見ることが出来た。
しかし、ロープなども貼られていない為、徐々に草原が侵食されつつあるようだ。
ここで引き返し、もう一度山頂に戻る。
後は来た道を再び下った。

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