9月16日 八十里越え木の根峠まで・木の根峠から古道偵察

今日は、八十里越えの古道の偵察をメインに考えていた。
しかし、古道と中道を勘違いし、中道と思しき場所を2時間ほど無駄歩きをし、遅くなってしまった。
本来、今日は各地区別に古道を散策しようとしていたのだが、これだけ無駄な歩きで時間を費やしてはどうしようもないと思い、
通常の八十里越えのルートを辿ってみる事にした。
吉ヶ平方面は、道路が決壊しており、崩壊の様子を探る手立てもないが、こちら方面は何とか行けそうとの情報も得ていた。
10時40分という、実に遅い八十里越え入叶津口出発であったが、木の根峠まで行けたら行こうと考えていた。
無駄歩きとアスファルト歩きを長く行ったせいか、足も重い。
 秋と夏の端境期であるが、季節は9月である。
確実に秋は深まっている。
秋といえば、実りの秋、キノコの季節でもある。
ブナの大木には、決まってツキヨタケが重々しく生えている。
今年は、キノコの出具合は良さそうである。
一見毒々しいが、カバイロツルタケのようなキノコも結構あった。
これは食菌であったと記憶している。
ブナハリタケやナラタケも所々見られた。一つ目の沢を越えたあたりから、決壊が現れた。
良く見ると決壊場所の手前から、捲き道を作ってある。
連続して二ヶ所に決壊があり、大きく捲き道が施されてあった。

30分ほど九十九折を歩き、一休みし昼食とする。
薮蚊が多いのには閉口したが、ぺろりと握り飯を2個平らげ、満足する。
程よく、腹も膨らみ、歩く気になってきた。
同じような地形を2度3度過ぎ、「化け物谷地」に着く。
ここが化け物谷地であるかどうかは、解らないが湿地はここだけであり、間違いはなさそうである。
そこを過ぎると水準点があった。
道端には、キバナアキギリ・カメバヒキオコシ・タチアザミ・サワアザミ・ミゾソバ・シラネセンキュウなどの秋の花々が目立つ。
沢筋にはダイモンジソウ・ハンゴンソウ・ゴマナ・ツリフネソウ・ジャコウソウ・クロバナヒキオコシなど、
初夏の花々のような華やかさはないが、秋に風情を感じさせてくれ、心が和んでくる。
オニシオガマも意外に多かった。
湿気っぽい平地を歩き続けていると、徐々に視界が開けてきた。
松ヶ崎である。ここまででおよそ2時間掛かっている。
正面の左奥に、黒姫がどっしりとした山容を見せ付けている。
あと小1時間も歩けば、木の根峠に到着するであろうと、歩き出す。
ロープが施されてある、小沢を2回ほど越すと、歩きやすい道となり、やがて木の根峠らしい感じになってきた。
木の根峠には、道標やら、色んな標識が置かれている。
小さな角柱に「八十里古道入口」と書かれてある。
ザックを置き、潜り込んで見る。
フジのつるが絡まり、藪は酷い。
しかし、多少の鉈目らしきものもある。
ほんの10mほど蔓モザを潜り抜けると、開けた所に出た。
多少に踏み跡らしき感じにも見え、藪ではあるが、どんどん歩ける。
この先はどうなのであろうか、また日を改めて来て見ないと何とも言えない。
今日はこれでタイムアップだ。
車道歩きをプラス1時間見ないといけないからである。
古道であっても、ブナの原生林に囲まれた地形であれば、踏み跡は明確であろう。
しかし、ブナの大木が倒れた箇所は、一気に陽性草本や陽性樹種が覆い、下手をするとマント群落(蔓などの類)に覆われてしまう。
日当たりが良く、そこそこに湿気っぽさがあろうものなら、たちまちクロバナヒキオコシなどシソ科の草本に覆われてしまう事もある。
近いうちに、今度は沼の平から古道捜索をしてみようと思っている。

古道を抜け、木の根峠を13時30分に出発。
八十里越え入り口を15:30、さらに車道を1時間歩き16:30にゲートに着いた。
 現在木の根峠からのルートは明治27年開通であり、新道と呼ばれている箇所である。
本来の江戸時代の八十里越えは、古道なのである。

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