6月10日 吉ヶ平〜高清水沢 単独&シロ
吉ヶ平手前道路決壊部まで車を乗り入れる。
山菜採りらしい車も止まっており、人に会う恐れもあるのでシロは手綱付きで出発。
吉ヶ平山荘を過ぎ守門川を覗けば、昨年の水害の影響で、砂防ダムは無造作に断ち切られ河床に転がっている。
台風前なのだからであろうか、異様に蒸し暑く感じる。
庚申塔なる石の前を通り過ぎ、奥へと進む。
かつて、子供達がこの辺を通り、集落の賑わいがあったのであろう。
坂を登ると、廃墓石が乱立している。
墓石のある辺りには、昔耕作された痕跡の、平らな地形がある。
一面に沢ぐるみが生え、林床にはチシマザサなども生えている。
ここに来る事数回、なぜか開拓民の哀しさを感じ、足を止めてしまう。
私が生まれた大原開拓地の哀しさも、まさにこんな感じだった。
未だ、浄化し切れない魂が暗鬱とした森の中を彷徨っている気がする。
吉ヶ平の元集落で有ったと思われる場所を抜けると、突然視界が開ける。
雨生ヶ池分岐の道標が有る。
そこから今度は、杉の植栽された鬱蔽された森を歩く。
林業の管理で、かつてこの辺まで車で入ってのであろう。
杉の大きな森が終わると、かつて崩壊地であったであろう、ほぼ草地が続く。
足元の僅かな踏み跡を頼りに進む。
山菜の時期に、沢山のワラビ採りが入り、道がいくつも有る。
うっかり間違って入ってしまう。
椿尾根辺りから、小沢が流れているが、その沢が昨年の水害ですっかり土砂が流れ出ていた。
かつての道は、5割がた無くなってしまっていた。
その代わり、その土砂の流れ出た跡に、新しい踏み跡もあり、今後の新しい道となるのであろう。
椿尾根を過ぎると、崩落した箇所が直ぐ有った。
そこを過ぎ、二つ目の大きく抜け落ちた崩落箇所に着くと、踏み跡は忽然と消えた。
結局ここで小1時間ほど、沢を登ったり下ったり、藪を漕いだり徘徊してしまった。
徘徊中は結構あせってはいたが、森の中のコルリのやたら明るく脳天気な声に励まされていた。
どうやら最近の踏み跡の主も、色々コースを考えあぐねたらしい。
シシウドを荒らした熊の痕にも惑わされた。
逸した時間を取り戻すべく、歩を進めるが、異常な暑さで早く歩けない。
山の神を過ぎ、尾根へ向けての急登が現れる。
登りきると、いきなり番屋乗り越しの道標が現れる。
地形が窪んでいるので、大きな雪隗が有った。
ここで、しばらく大休止する事にした。
番屋乗り越しの道標895mとある |
早々に腰を上げ、最低でも高清水沢まで行きたいと考え、出発した。
番屋乗り越しから先は、未だ雪が消えたばかりの所が多く、数々のスプリングエフェメラル達が彩っていた。
ニリンソウも見られた。
直ぐ傍に烏帽子山が見え、その奥に守門岳本峰が見える。
暑さにめげながらへつり道を進むと、火薬痕があった。
左より、烏帽子の鼻、烏帽子山、守門岳 |
クマイチゴの花が道標を囲むように咲いていた。 火薬跡を越すと、やがて道は下りとなる。 |
下るとブナ林があり、雪が未だ残っていた。
所々道が不明な部分も有ったが、赤テープも見えあまり苦もなく進めた。
小さな小沢を過ぎ、再び新緑のブナ林へ。
横を見ると池が有った。
さらに下ると、小さな道標が見え、ブナ沢と書かれてある。
この沢は大きいが水量はさほど多くなく、シロも難なく水に浸かりながら渡渉する。
ブナ沢を越え、斜面を登り、しばらく歩くと、小沢のような崩壊地があった。
崩壊地から右上を見あげると、岩場があり、直ぐ傍に烏帽子山が迫って見える。
突然シロの吼えた声がした瞬間、私の前からカモシカが走ってきた。
カモシカとて、体当たりされては堪らないので、怒鳴った。
カモシカは90度向きを変えて沢の中に逃げ込んだ。
一歩きすると、高清水沢の轟音が聞こえてきた。
沢の手前に、さらに崩壊地があり、歩きにくい。
僅か、ワンパーティーが踏破した踏み跡があったので、随分それに助けられた。
先導役はかなり精通した方であろう。
ブナ沢付近の残雪 | 高清水沢 |
崩壊地を木に掴まりながら、元の道へ戻り、目的の高清水沢まで着いた。
高清水沢は、源流が岩だからであろうか、ほとんど崩壊していない。
椿尾根から先の崩壊地で、1時間ほどロスしてしまったので、当初鞍掛峠までを考えていたが、時間切れでここでターン。
番屋乗り越しまでは、だらだらの登り返しとなる。
蒸し暑く、かなりの消耗である。
番屋乗り越しで、ゆっくり休憩する。
昨日、守門に行く予定が行けずに終わり、そのために作った握り飯を食うがさすがにぼろぼろしてまずい。
イヌは、腹が減るのか、俺以上に食欲は有るようだ。
番屋乗り越しを後にし、ひたすらへつり道を下る。
徘徊した部分をしっかり把握しながら、コース確認を再度する。
椿尾根に差しかかる頃、どんよりとした風景であったが、残雪を残す守門岳を見る事が出来た。
杉林に掛かる頃から、雨となり、結構な降りとなった。
やはり暑かったのであろう、雨により生暖かい地面の匂いが立ち込めていた。
道路決壊部8:08 吉ヶ平山荘8:22 雨生ヶ池分岐8:35 椿尾根9:43(1時間以上徘徊)
山の神11:25 番屋乗り越し11:40 番屋乗り越し11:50 火薬跡12:10 ブナ林小沢12:30
ブナ林小沢12:38 ブナ沢12:56 高清水沢13:11 ブナ沢13:25 ブナ林小沢13:37 火薬跡13:55
番屋乗り越し14:23 番屋乗り越し14:30 山の神14:40 椿尾根15:27 雨生ヶ池分岐15:52
吉ヶ平山荘16:05 道路決壊部16:20
トップページへ
2005年山歩き一覧へ戻る
山塊別山行き記録