2009年 1月12日 狩猟2

仕事が一区切りついた頃、外を見ると晴れていた。しかし予報は良くないはず。再度、地域予報を確認すると何とか午前中は持ちそうである。
 シロは伴いたくなかったがここのところ散歩も出来ず、シロのストレスも溜まっているであろうと思い、連れて行くことにした。案の定媚を売るような甘えた声でいななく様に吠える、可愛さのかけらもない。この間、前からシロを知る人が来訪し、『シロも随分年寄りじみてきたな』と言った。シロの体力を年次検査しているわけでもなくそれは解らない。たぶん毛の艶が悪く、汚かったせいであろう。実際に山野を歩けば、シロの無尽蔵な体力に舌を捲くはずだ。
 やはり予想通りシロは、ラッセルを楽しみ雪と戯れている。日中狭い犬小屋でひたすら俺が引っ張り出してくれるのを指折り待ち、猟欲を高めているのだ。シロにしてみれば、まさに満を持しての出猟の日なのであろう。いじらしくもあるが、憎たらしくもある。俺とシロはそんな関係だ。この間入った石材工場のところから入るが、シロの楽しむラッセルと違い、二度ぬかりするという極めて歩きずらい雪に悩まされる。 
 昨晩、降雪はなくいたるところにウサギの足跡がある。足跡が多すぎて全く所在の見当をつけようがない。こういう日もある。良い条件だけではない。雪の状態も良くなく、いきなり腿まで抜かるところもあったり、随分と時間を要する。雪の状態もさることながら積雪がやはり未だ足らず、ブッジュが多く歩きずらい。しかしながら、心を緩めてはいけないと銃の準備をしながら歩いていく。
 ふいに右側に視線をやると、ウサギが立ち止まっている。ものの30m、初矢を放つが手撃ちだったのかパターンがずれていた。手撃ちとは照星は合っているものの、肩付けが悪く反動を逃がす事が出来ず、発砲時にぶれてしまうことを言う。やはりパターンはやや上に着弾していた。手ごたえは全くなかったので、追ってもまず無理だろうと思ったが、逃げる行き先を確認したいのでしばらく跡を追う。ふと視界に再び足を止めているウサギを発見。枝打ちされた杉の木にちょうどよく体が隠れており、うまく当たるか自信がなかったが、少し中り出血していた。シロに跡を追ってもらう。しばらく跡を追うと、シロの吠える声がした。
シロが止めたのか、どうか解らぬが取り合えず捕獲できた。
 足を進めると、沢の向こうに遠かったがウサギを確認。やはり遠く、かすりもしない。場所を移動し、沢筋近くの林道沿いに歩いていく。突然ウサギが飛び出したが、杉の植林地の影に入った。しかしすぐに出て逆斜面側に登り逃げる。ここで初矢を射る、十分な溜めがありほぼ必中を確信したが、未だ逃げている。おかしいと思い、さらに追ってみるとやはりかなり当たっていて二の矢で捕獲。
 二頭目の処理をしていると、天気が急変してきた。予想通りだったが、いきなり吹雪となり猟欲は一気に薄れた。一応、銃を保ったまま石材工場に着いた。
 今回は、全くカムフラージュ痕は見ることが出来ない条件だったが、こういう日もある。約4時間のラッセルだった。


2009年山歩きへ