2009年4月28日 太郎助山

足沢口4:20  542p 4:40-50  762p 5:15-20  足沢山6:45-7:00  太郎助山9:30-50  足沢山11:30-12:05
762p12:20-30  足沢口14:20

 Iさんと足沢口より入る。542方向から鵺の声がする。Iさんは、今回私と同じ長靴での参戦である。したがって、苦もなく薮の急登を抜け、程なく542に着いた。イワウチワは既に落ちかけていて、代わってオオカメノキが花を付け始めている。周りは新緑をまとい、まさに初夏の様相に一変してしまった。
 650付近の広い尾根の雪は大分少なくなっていたが、半分以上雪が拾えた。登り切れば762である。4/27昨日は里でも朝からみぞれ交じりの寒い日であった。新雪が降ったのは知っていたが、まさに太郎助山は初冬のような姿に変わっていた。しかし、雪もさらっと舞い降りた程度に見え、さほど雪で苦労することはないと思われた。また、気温も低く未だ曇りで風もあったため、このままのペースで行けば毛猛まで行けますよとIさんに言う。
 762pから足沢山に向けて、徐々に高度を稼いでいくと雪が現れた。最初は気にならなかったが、薮の途中の樹氷が歩くのを邪魔し、ペースはダウンし、さらに地面にもそこそこ雪があり、歩きにくくなった。
 足沢山に来ると、既に冬山のような様相となっていて、この先さらに樹氷との格闘や新雪を歩くという行為が一気にモチベーションを下げた。Iさんに撤退を促すがIさんの意思は太郎助山へと向かっていた。心なし、日も差し気温が上がってきたように思われた。その瞬間に近くの樹氷が川の流れのように落下し始め、凍っていたモチベーションも解凍し始めた。
 延々と薮の樹氷は続くので、なるべく雪を拾いたいと思い、へつりを多く入れることにした。ただ、これがなかなかへつりずらい雪であった。固い粗目の上に新雪が降ったものだから、急傾斜ではスリップしてしまうのである。なるべく三点で支えるようにし傾斜の緩やかな部分を選んでへつった。結果的に時間は要したかも知れないが、樹氷の薮を通るより気分は良かった。
 太郎助山の直下はアイゼンピッケルを使う必要を感じていた。下雪がやはり硬く、新雪は雪に飛ばされ凍った雪が露出していた。Iさんはアイゼン、私は山菜用のアイゼンを付けた。この間の4/19に登っていた登山者はほぼ12本か10本だったようである。この間は雪も柔らかく、アイゼンは一部必要程度であったが、昨日は本当に準備して良かったと思う。
 太郎助山直下の薮道は樹氷が強烈だった。薮漕ぎというよりも樹氷漕ぎだ。オオイヌツゲの常緑葉に大量の樹氷が付き、行く手を塞いでいる状況であり、手は冷たいし体は濡れるし、いらついた。
 足もだるくなってきた頃、太郎助山に着いた。5:10掛かった、これもかなり掛かったほうであろう。
 毛猛山方面や桧岳も綺麗に見える。しかし、この先に樹氷漕ぎを考えると完全に気持ちは折れていたし、Iさんはここで十分満足したとの事で、やはり今日も太郎助山がゴールとなった。新雪が降っていなければ、たぶん毛猛・桧は手中に出来たであろう。あくまでも推測に過ぎないが。
 20分ほどで風も冷たくなり、引き返すことにした。下りは新雪が団子になって足裏に付着し、注意しなければならなかった。こういう時にマテリアルの良さ悪さが露呈されるのであろう。
 天気がぐんぐん良くなり、振り返ると豪壮な太郎助山が聳えていた。いかにも毛猛山塊の門番のように、でしっと構えている風だ。
足沢山が最初の関所であるとするならば、太郎助山は関所で尋問される場所であろうか。行きは気がつかなかったが、アズマシャクナゲがところどころ花をつけ始めていた。
 気温が上がると、今季初にツツドリが鳴いている。ポポ・ポポ・ポポ・・・・この鳥の声を聞くと、ブユを連想してしまう。このブユに食われながら山菜採りをすることが良くあるのだ。そんな時に、このツツドリが必ずと言っていいほど鳴いている。
 下は、初夏の匂いで充満し、これから来るであろうGWに心躍らせながら車が疾走しているように見えた。

足沢山から桧岳 太郎助山下から見る太郎助山
太郎助山から足沢山



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