2009年7月28〜29日  肘折登山口より月山往復

1日目
肘折登山口発3:45  大森山4:07  猫又沢4:56〜5:05  赤沢川5:57〜6:05  小岳7:00〜7:10  三日月池7:40  
念仏ヶ原小屋8:02〜8:10  立合い沢8:50  1233付近10:05〜10:15  山頂小屋13:00
行動時間9:15

2日目
 山頂小屋4:45  1233付近5:50〜6:00  立合い沢6:30  念仏ヶ原小屋7:20〜7:30  小岳8:20〜8:25
赤沢川9:05〜9:10  一の地9:26  猫又沢9:50  大森山10:42  登山口11:00
行動時間6:15

 28日午後4時、月山肘折登山口に着く。朝9時に魚沼市大白川を出、252号を経由し約7時間掛かり到着した。
私と平井氏の山行きの場合、基本は高速は使わず下道のみで行くことが常識となっている。従って、移動には十分な時間を割く。
 車は自分の愛車の軽ワゴン。これは後部座席を折り畳むことが出来、180cm近い自分でも足を伸ばして寝れるスペースが確保できる重宝ものの車である。正直ポンコツに近い車であり、高速では不安を感じることも一つの理由でもあるが。
 なにはともあれ男2人が寄り添えば、ひたすら乾き物や缶詰などを肴に、気付け薬を飲み続けるのみである。馬鹿話や、時折明日の山の話をしたりと、時間を潰す必要もなく時は過ぎた。
 19時過ぎには、2人とも床に入り、一言二言話すうちに平井氏は寝息を立て始めていた。自分は夜蚊の嫌らしい音と暑さであまり眠れなかった。
 3時過ぎに起床し、パッキングを開始した。割と時間を食い、3時45分に登山口をヘッデンを点け出発する。
 この山行きを提案したのは平井氏で、自分はその案に賛同したという感じであった。平井氏はこのコースを1日日帰りを目論んでいたのだが、私は自信がないということで、条件良ければ日帰り。条件や体力の関係で無理ならば、月山登頂後、念仏が原避難小屋で1泊し、帰宅すると言う計画であった。
 私自身、この山行はきついものになるであろうと予測していた。昨年末まで行っていた肉体改造をやめてしまい、元の醜い体型に戻っていたし、なによりもここ最近きつい山歩きをしていなかったのである。そんなことで、前日の酒宴は控えるべきであったのであろうが、もうどうにも止まらないである。
 緩やかな登りで始まったが、妙に蒸し暑く、直ぐに汗が出てきた。大森山を通過し、最初の休憩は猫又沢であった。猫又沢まではさしたる登りもなく、へつり道が長く続いた。沢からはいよいよ登りらしい道となり、一旦赤砂山の南987付近まで登ることになった。そこから再び下り、今度は小岳を目指すわけだが、これがだらだらの緩登が果てしなく続く我慢の歩きでもあった。
 小岳から先は、多少亜高山帯の植生となり、念仏が原小屋が近いことが解った。念仏が原小屋に不要な荷をデポし、なるべく軽量で山頂まで至りたいという希望があったのだが、小屋は6名ほどのパーティーが荷物を広げており、そのまま向かうことにした。
 小屋を後にし、しばらく歩くと広大な湿原が現れた。ここが本来の念仏が原なのであろう。上部には大きく裾野を広げた月山が姿を現した。少し行くと平井氏は立ち止まり、今そこに熊が横切ったと教えてくれた。見ると右手に草原の中をのっしのっしと歩いた踏み跡が残されていた。
 木道をあとにすると、今度は立合い沢に向けての怒涛の下りとなった。沢は比較的広く水量は多いが立派な橋が架けられている。既に標高1000mを切っている。5時間歩いたあとに、1000m以上の登り返しが待っていると思うと、気力は一気に萎えた。
それも今までになかった急な斜面である。平井氏は真骨頂でぐいぐい高度を稼ぎぐんぐん歩いていく。こちらは半病人のような重い体を騙し騙し上に持ち上げることに専念するのみで、やはりそれも途中で限界を感じ、休みを小まめに取る。尻を付いて休んでいると、キビタキが近寄ってきて目の前に鳴くでもなく、しばらく一緒に居てくれているという風であった。警戒心の強い鳥であるのだが、私の不安は少しだけ緩和された気がした。
 急な斜面を登り終えると、一旦斜面は緩やかになり、草付きも現れた始めた。いよいよ月山の領域に入ったのかと期待したが、休憩後再びダケカンバ類が生える急は尾根道となり、なんとなく越後荒沢岳の尾根道を彷彿とさせた。
 登りきるためには、やはり休憩が必要だ。クールダウンしなくてはならないのだが、ヒートアップ状態で、回復が遅い。回復待ちをしていると極めて遅くなるので、カタツムリペースでもゆっくりと足を持ち上げる作業が続いた。
 既に計画は変えられ、日帰りはとっくに諦め、山頂で一泊と変更になっていた。先ほどの6人パーティーが再び念仏が原小屋に停滞しているかも知れず、大勢での泊まりは困難と思われたのが一つと、何しろ再び念仏が原小屋まで行く気力がないと言うのが本当の理由であった。
 急なダケカンバ林の尾根を登ると、一旦見事な月山の裾野が広がったが、再び道は地道な笹林のみとなり、負傷兵のようにのらりくらりと歩いていった。水量の多いガレの沢があり、平井氏は待っていてくれた。冷たい雪溶け水であった。偽ピークのようなものを登りきると、再び広い斜面となり、どうやら賽の河原と言う場所のようだった。賽の河原を過ぎると最後の急登が左に万年雪を侍らせ構えていた。登りきると右手に小屋が見え、発電機の音が響いていた。
 小屋に入ると、小屋の人が対応に直ぐ現れた。泊まりたい旨話すと、食事付きか如何かと問われたので素泊まりと言うことで宿泊をお願いした。もともと山頂小屋が有人で食事が有るか無いかなど調べていなく、食料は嵩張るほどあったので、温かい手の込んだ食事を食べたかったが、荷を減らすことも考え食事なしと注文したのである。
 我々の部屋は6帖ほどの良い部屋で、『コイワカガミ』と言う部屋名であった。浴室もあったようだが、風呂は2人とも入らなかった。
 お楽しみの宴会は、平井氏持参のバットの先端のような巨大なサラミソーセージがメインであり、ワインも飲もうとしていたのだが、コルク抜きが壊れた・・と平井氏は慌てていた。とりあえず、乾杯用にと小屋の500缶ビールを買い、乾杯した。時間はたっぷりあるから、ナイフで少しづつコルクを削り取り、コルクの量が少なくなってから開栓しようとひたすら平井氏はその作業に没頭した。小1時間も作業したであろうか、ようやく栓が開けられ、再び乾杯となった。
 私は、明日のこともあるので、ほどほどにした。残ったワインが平井氏が全部開け、午後5時には既に彼の爆睡タイムが始まってしまっていた。
未だ外は明るく、時折日も射すような気配もあり、何度かカメラを持ち外に出たりした。カメラを写すことが出来た植物のおよその同定を手帳に書いたり、画像を確認したりし、自分も午後7時には寝てしまったようである。

 翌朝、十分な睡眠をとり4時に起床した。暗いうちからでも良かったが、外は雨のようであり、山頂直下は道が不明瞭なことから夜が明けてからと出発することにしたのである。
 出発時間の頃、山頂付近やその周辺には人の気配はなく、静かな朝の山頂を下っていく。多少ガスはあるものの、比較的眺望は良く、かなり下まで降下しても山頂小屋を見ることができた。ぐいぐい下り、標高差1000m強を1時間45分で沢に着いた。
 沢からの登り返しはきついものだったが、標高差はさほど無いので程なく念仏が原の平地に着いた。小屋で休憩し、軽く朝食を摂った。
 小屋を出発後は、それぞれのポイントで平井氏が先に着き、私を待っていてくれた。休憩時に二人が一緒になり会話するのみで、歩いている時はそれぞれが単独で歩くというのが我々のスタイルである。
 小岳からゴールまでは、へつり道が多く、単調な山道でかなり我慢が必要であった。ただ、この長距離の登山道を綺麗に整備されていたので、これは驚愕ものである。

 このコースは登山口から全長約17kmと言われており、難コースであるとされている。念仏が原まで三山を越えなければならない。間に二つの沢を渡って行くのであり、それだけで5時間前後要するのである。そしてさらに900m台まで下り、目指す月山1984mまで登らなければならないからである。このコースは主に下りに用いるというのが定番らしいが、登りに用いるのは、何よりも精神的な苦痛を伴う。
 当初目標であった、日帰りピストンは夢と終わったが、平井氏一人なら十分可能であっただろう。私も息も絶え絶えでピストンできたかもしれないが、山を楽しむ事は全くできなかったと思う。
 山頂で一泊し、ゆっくり山野草を眺めたりすることが出来、楽しむことは出来た・・・・が、自分の身体的機能を恨めしく思った山行でもあった。

植物一覧(種名が間違っているものもあるかもしれません)
ゴゼンタチバナ・マイズルソウ・アカモノ・コイワカガミ・ミヤマウスユキソウ・イワイチョウ・ニッコウキスゲ・キンコウカ・ハクサンチドリ・
ナガボノシロワレモコウ・イブキゼリモドキ・ハクサンボウフウかシラネニンジン・モミジカラマツ・サンカヨウ・オオタカネバラ・キソチドリ・イワショウブ・ミヤマキンポウゲ・ミヤマアカバナ・コシジオウレン・コバギボウシ・オオバツツジ・ミヤマホツツジ・ハクサンフウロ・
ハクサンシャジン・ソバナ・ミヤマアキノキリンソウ・ホソバイワベンケイ・トキソウ・シロバナクモマニガナ・オオコメツツジ・
ハクサンイチゲ・ヒナザクラ・ヨツバシオガマ・アリドウシラン・アオヤギソウ・ネバリノギラン・コバイケイソウ・ヤマガラシ・
ミヤマリンドウ・ツルアリドウシ・ウラジロウヨウラク・ウサギギク・キオン・リュウキンカ・エゾシオガマ・ツマトリソウ・タマガワホトトギス
ハクサンシャクナゲ・チングルマなど。
以下は代表的な画像(花の画像をたくさん撮り込みましたが、カメラが悪いのか腕が悪いのかかなりぼけており、良い物だけ添付しました。)

小岳付近から月山 三日月池
念仏ヶ原のニッコウキスゲ 念仏ヶ原一部
念仏ヶ原を歩く平井氏 立合い沢橋
立合い沢の流れ 山頂直下賽の河原付近
山頂小屋 山頂付近の草原から眺める神社と山頂小屋
平井氏は寝てしまったので自分で山頂撮影 コバイケイソウ群落
翌日の念仏ヶ原からの月山 念仏ヶ原の自分。とても登山者に見えないスタイル
念仏ヶ原小屋と荷造りをする平井氏 綺麗に撮れましたタマガワホトトギス
最後のながーいへつり道 美味そうなタマゴタケ
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ごーる!!ごーるーーーっ!!