2009年8月31日鬼が面山山塊登山道整備
8/12守門布引の滝登山道終了。8/13&8/16浅草岳ネズモチ登山道終了。その後、仕事や所用があり、再び登山道整備を開始したのは8/27からである。
8/27、六十里登山口を約15kgの荷で出発。9時を少し回った頃吹き峠分岐に着く。作業までに工事前の画像を取り込む。
昨年に較べると、草や潅木はやや少なめで、割と順調に刈り続ける。燃料タンクが2回空になったところで、昼飯とした。昼飯後再び刈っていると、上から登山者が降りてきた。登山口の福島ナンバーの車の主であることから言葉に訛りがあった。山頂まで行かず、ムジナ沢ガッチまで行って来たと言う。
稜線に着くとたくさんのウメバチソウが咲いていた。蕾はボールのように白く丸まっていて可愛らしい。他にはソバナも少し遅い感じだがたくさん有った。ハクサンオミナエシも未だある。
只見川側が崩落し登山道が狭くなっている箇所は、なるべく新潟県寄りの潅木を多く刈った。これだけでも大分安全に見える。
午後は2回燃料タンクを空にしたところで、午後4時半頃になった。残った昼飯の残りを食べ、4時45分に南岳直下を出た。
午後6時半、六十里越登山口に着いた。28日は別の用で来れないので一旦刈払い機を下げた。
8/29、6時40分六十里越を出発。上がるという予報であったが、朝から雨で気分は最悪であった。おまけに一旦下げておいた刈払い機を担いでの山歩きは言葉も無い。吸水性抜群の合羽は腕まで水が回り不快だ。最低限雨の冷たさが直接皮膚に伝わってこないことだけが我が合羽のメリットと言える。
2時間20分掛けて南岳直下まで来る。9:15より作業スタート。作業をしていると、雨は止み気温が高くなり暑くなってきた。
南岳から鬼が面山までは高低差もなく、作業はし易い環境にあったが、日照が豊かで木々は生い茂り作業は難行した。
今日はなんとしても村杉ガッチまでは終了させたい、その気持からか、早めに昼食を摂った。このところ、食事を味わうよりも食餌と言う行為だと感じる。
村杉ガッチ手前の岩窟下で5回目の燃料切れとなった。時間は午後4時半近い。6回目の燃料を注入し本日最後のスパンに突入する。5時15分頃にはカッチに着いた。
村杉ガッチは山頂直下をへつるように登山道は捲かれて敷かれている。昔の鉈目は山頂方面へと少しあったので、刈り払いを行うことにした。かなり奥まで続いていたが、木が大きくなるとそこで鉈目は終わっていた。怒涛のように木々を蹴散らし刈り払った。ちょうど5時半で燃料が完全に切れた。
刈払い機を置き、少し腐れ掛けた弁当の残りを食べた。
刈払い機のエンジン温度が下がった頃、機械をデポし帰路に向かった。刈払い機が無いとこんなに歩きやすいものなのか。そう思いながら下った。
6時30分近くなる頃、ヘッドランプが必要になった。稜線から吹き峠の緩斜面を歩いていると、半月が出ていていかにも風流な夜道だ。しかし、なんだか異様に暗くなってきた。どうやら月は隠れ、替わってガスが充満してきたようだ。マイクロ中継局から下は視界5mに変わった。風流どころか目をしっかり見開いてつまづかぬように注意し、7時半に六十里越登山口に着いた。
252号道路の途中に、何台かの車が止まっていて昆虫採集をしているようであった。とにかく眩しくて困るのだ。
8/30、ネズモチ平のゲートの鍵を開けると、70近い男性が近寄ってきた。話しかけるのだが、方言がきつくて良く解らない。
『今日の天気じゃ登山は無理だろう?』と言うような内容の話であった。自分は『作業なので天気は関係ないです・・・・』そう言った。『この道路は何処まで行くのか?』とか、色々話したそうであったが訛りが強く理解できないのだ。『じゃぁ、まぁ・・』と、訳の解らない挨拶をして車をゲート内に乗り入れる。
昨日とほぼ同時刻の6時40分に登り始める。桜曽根登山道は音松荘の担当で既に綺麗に刈られてあった。8時ジャストにネズモチジャンクションに着いた。
普通歩行で30分強歩いた距離が、ほぼ刈払い機で行える1日の作業区間である。よって、昨日村杉沢ガッチまで刈り払ったが、そこまで一体どのくらいで着くのであろうか?と言う疑問を感じながら村杉沢ガッチを目指した。ネズモチジャンクションから村杉沢ガッチまでは50分だった。明らかに1日では終わらない距離だ。
初めての刈払い機デポでエンジンが素直に起動するか不安だった。まったく問題なく起動した。
最初は急登を下りながら刈って行く。45度もあろうかと思うほどの急登で用心しながら刈った。ようやく下に着き、ほっとしながら作業をしていくと、なにやらぶんぶん飛び回っている虫が居る。『蜂だ』。巣を刈り払ってしまったのか?逃げなきゃやられる・・・慌てて走り出すが、執拗に追いかけてくる。追いかけてくるといえば蜂以外には無い。何度も振り向くが未だ追いかけてくる。身軽にしないと・・そう思い、隙を見て刈払い機を地面に置く。未だ追いかけてくる。駄目だ、逃げ切れない。そう思ってしゃがみ込んで取り合えず頭部を手で覆い、頭だけはやられないように竦んだ。なかなか刺さないなぁ・・・闘争心を失ったのかな?・・するとチクッと肩の辺りに痛みを感じた。意外に痛まない蜂だな、と肩を見ると、実にスズメバチに良く似た色合いのアブであった。考えてみれば、蜂の猛追には人間が逃げたところで間に合うはずなど無いのだ。アブを叩いたあとも、しばらく呼吸は荒かった。
蜂の恐怖に怯えつつ作業を再開した。ムジナ沢ガッチに向けても細かい小ピークがボコボコおまけのようにある。眺めのいいピークで昼飯とした。
気温は比較的低いと思い、長袖の黒いシャツを着てきたので暑く、かなり汗をかいた日でもあった。今日も昼飯は美味いと感じなく、ただの燃料補給のような感じで摂っていた。
ムジナ沢ガッチの急登は急だった。そこから下りも急で、いつになっても平らにならない。一体何処まで下るんかい!文句を言いながら刈っていた。
ようやく鞍部に着き、ここからは前岳への登り斜面である。真ん中くらいで燃料は切れた。ちょうど5時。いい線だ。
6時半に桜曽根に着いた。この日はヘッデンを使わなくて良かった。
8/31、昨日一昨日とちょっと頑張れば、今日は来なくても良かったのでないだろうか?そんなことを思いながら残りの作業を終了すべくネズモチ平から歩き始める。
荷はさほど重くないのだが、体のそこらじゅうがどんよりと重く感じられ、ペースは上がらない。タイムトライアルを試みたが異様な汗で直ぐに諦めた。
ジャンクションに着くと、シャツはぐしょぐしょに濡れ絞ることさえ出来た。
あらかじめ今日はさほど時間が掛からないで終了することが出来るとの余裕からか、遅い出発であった。作業は10時頃から開始した。ぐんぐん刈り取り作業は進行したが、前岳直下では大きな石が登山道にごろごろあり、まったく捗らなかった。いくらでもない距離ではあったが、ジャンクションまで1時間半も掛かってしまった。12時半で全て終了。
ついに終わった・・・。だが、昨年のような感慨は無い。今年は極めて順調に終わったからである。機械トラブルが2回もあった昨年。トータル9日を要したが、今年は7日で締めることが出来た。感慨と言うよりも、むしろこれだけの整備を1人で請けると言う、常軌を逸した思考に呆れさえする。
それでも本日最終日。刈払い機を担ぎネズモチ登山道から下山中、枯れた草木が登山道に散らばり感慨深かった。そういえば、ここも自分が整備したんだと改めて思い起こしていた。あまりにもきつかった鬼が面山登山道整備に較べれば、人と会話も出来そこそこネズモチ道整備は楽しかったのだと思う。
たぶん、鬼が面山山塊はきつかったけれど、刈払い機の爆音の中のある一部分の静寂な空間に入り込んでいる自分が居たのだと思った。
振り絞るような達成感はなかったが、なんとなく独りを楽しんだ日々であった。
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