2009年10月4日 大原登山口から守門岳

 登山道に蜂の巣があるとの事であり、その場所が特定されておらず、確認に行くことにした。
 大原登山口には既に数台の車が停車されており、登り口には『スズメバチが居るので注意』という旨の看板が設置されてあった。この看板だけでは獰猛なスズメバチの恐怖は伝わってこない。登山客は、ここまで来て別の登山口まで戻り再び登山という手間を考えれば、多少のリスクは承知で登るのが一般的であろうか。またスズメバチの所在はかなり広範囲の記載となっていて、場所が特定できないようである。
 先行者は既に登っているはずだが、蜂に刺され引き返した人も居ないようで、さほど危険ではないのかも知れぬと思う。問題の布引の滝道分岐からは一応合羽を上だけ着込み、一刺しに備える。下半身を刺された場合はポイズンリムーバーで何とか一人でも処置できるとの考え方である。 木の梢付近やウロ、地面に作られる場合もあるため、粗い息ながらも注意深く辺りを見ながらゆっくり登っていく。
 以前飯豊で刺された時には、地面に作られた巣を地元の屈強の方々が処置した後であったが、残った残党にやられてしまったという経緯がある。巣を完全に除去するには、やはり専門家の手で一網打尽に丸ごと取らないと駄目なようである。残った蜂が居ると怒り狂っていて逆に性質が悪い。そういう蜂たちは極めて凶暴で襲ってくるのだ。
 右側が崩落したロープ付きの岩場を過ぎると標高1000mほどの地点となる。登りきると前方に見晴らし台1050m地点が見えてくるのだが、その手前に厭な羽音が聞こえてきた。左カーブとなっている山道で、道を被うようにアズキナシの木が生えている。その木の葉にスズメバチが集っていた。少なくとも7匹以上は居ると思われた。よく観察すると、巣は視界には見当たらない。もしかしたら薮の中にあるのであろうか?足沢山で見た蜂のように、何をするでもなく葉に留まったかと思えば、再び羽音を出して飛んで移動し、葉の水分でも舐めているのであろうか。『厭だなぁ〜』と思いながらも、先行者は苦もなく進んだはずであり、そろりと登ることにした。体に近い蜂であっても、人間の存在などまったく気にならないようでひたすら葉に留まり何かをしているようだ。シロを先にやり祈るように通り抜けた。どうやら、巣を守るためにここら辺に徘徊しているのではなく、蜂同士のフェロモンで集まっているのであろうかと勝手に想像する。
 役所からの連絡では、水場の間までに二箇所あると聞いていた。注意深くあちこちを入念に見ながら進んだが、水場までは気配もなかった。水場付近を過ぎても油断は禁物と注意しながら登っていく。草付きが始まった場所あたりで大きな羽音が聞こえてきた。右手のキツネヤナギの付近を盛んにスズメバチが飛び交っていた。草薮の中に巣でもあるのであろうかと覗き込むが視界には無い。ただこれらの蜂も、数はそこそこ居るが何かを守ろうとかそういう意思は感じられず、ひたすらあっちこっちに移動したりしていた。ここもやはりやんわりと通り抜ける。
 田小屋分岐からの草紅葉も秋らしい風情となり、蜂の恐怖から解放されしばしの秋を楽しんだ。
 山頂には、約20名ほどの登山客が居て、それぞれに何かを食べたり飲んだりして秋の守門岳を楽しんでいた。シロを伴っていたので、山頂で画像を撮り込み直ぐ下山に掛かった。
 田小屋分岐付近のキツネヤナギにはまだスズメバチは集っていた。行きかう人に聞くと、『そうですか』と答える程度で、特に蜂被害に遭った人は皆無なようだ。やはり巣が近くには無いと考え、一匹のフェロモンで集まってきているという風に考えた。一応二箇所ともスズメバチは滞在し、たむろしていたので、金属製の円盤型スズメバチ注意表示板を設置しておいた。
 本日は10名ほど大原登山道で人に遇ったが、蜂に刺されたという人は居なかったようである。このことからあまり危険は無いと考えたいが、油断は禁物である。これから営巣することも考えられるからだ。
 既に、蜂には生まれてから6匹は刺されているので、蜂アレルギーではないと思っているのだが、襲われれば熊と同等以上のパワーをもつモンスターであることに間違いない。
 蜂の話に終始してしまったが、紅葉もぼちぼち始まっていて、この後の連休あたりはいい感じになるであろう。

田小屋分岐上 小烏帽子から守門岳を望む
山頂から袴腰(勝手に写ってしまいましたすみません) 山頂から小烏帽子(写ったからすみません)

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